コミュニケーション

「相手の立場に立って考える」は、「相手の関心に関心を持つ」ことで実践できる、という話。

個人的な話だが、最近私の妻が「WithU(ウィズユー)」になった。

「WithUってなに?」という人のために。

WithUは、6月30日に誕生したばかりの、10代のメンバー9人で構成されたガールズグループ「NiziU(ニジュー)」のファンクラブである。

NiziUは、日本のソニーミュージックと韓国のJYPエンターテイメントが手を組んだ「Nizi Project(通称ニジプロ)」という6ヶ月間のオーディション番組の中から生まれた。

そして、この番組期間中、妻の生活の中心は間違いなく「ニジプロ」だった。口を開けば「ニジプロ」である。

それはまるで「呪い」にでもかかったようだった。

翌日が仕事でも関係ない。夜更かしは当然。

「虹のかけ橋」

「Hulu」

「スッキリ」

韓国エンタメ放送局「サランピTV」

思うに、「ニジプロ」関連の放送配信、web記事、SNSのUGCはほぼすべてチェックしていた。しかも、教典を読むように何度も何度も繰り返しである。

そんな姿を見ていた私の口癖は、

「あんまり遅くまで起きていると、体に悪いからもう寝なよー」

「明日も仕事あるでしょー」

であった。

「相手を変えたいと思う気持ち」のまま言葉にすると、コミュニケーションに障害が起きる

要するに、夜更かしをよく思わない私は、「妻を変えよう」としていたのだ。

しかし、妻が変わる気配は一向になく、それどころか、通常のコミュニケーションにも障害が及んでいたように思う。

日本マクドナルドで伝説の店長と呼ばれ、現在Youtube講演家である「鴨頭嘉人さん」は、自身のチャンネルの中で、

愛情を「怒り」や「相手を変えたいと思う気持ち」のまま言葉にしてしまうと、本来求めていたようなコミュニケーションが取れなかったり、2人が本当に辿り着きたかった場所に着地できなかったりすることが多いです。

といっている。

私たちの間でまさにこれが起きていたのだ。

ところが、ファイナルステージ前の「ミッション3(チームIRISのパフォーマンス)」で、私自身が「ニジプロ」に関心を持つようになってから、状況は変わった。

「あんまり遅くまで起きていると、体に悪いからもう寝なよー」

「明日も仕事あるでしょー」

とは言わなくなり、むしろ、

「みんながみている前で(Parkさんから)こんなコメントかけてもらえたらそりゃ泣いちゃうよね」

「マコチームの「虹の向こうへ」は歌詞もダンスも好きかも」

「(リマさんは)さすがジブラの娘って感じでラップが上手だね」

など、妻に対して「ニジプロ」に関連する言葉をよくかけるようになったのだ。

結局、最終メンバー発表の時(25日の深夜)は、私も一緒に夜更かしをしてしまったのだが、障害が起きていたコミュニケーションは通常に戻った。

相手に関心を持つのではなく、相手の関心に関心を持つ

鴨頭さんは、コミュニケーションにおいて「相手に関心を持つのではなく、相手の関心に関心を持つ」ことが重要だという。

僕は、3年ぐらい前から、たまにファスティング(断食)をやっているんです。

なぜ始めたかというと、僕の「世界を変えたい」という願望をよく理解したトレーナーに勧められたからです。

「鴨頭さん、知ってます? 松下幸之助やスティーブ・ジョブズ、孫正義、ガンジーなど、世界を変えてきた偉大な人たちって、みんなファスティングをやってたんですよ。世界を変える鴨頭さんは、ファスティングにチャレンジするべきだと思いませんか?」と。

…断れますか? 断る理由がない。

もし「ファスティングって痩せるんですよ」と言われていたら、僕はファスティングを始めていませんでした。

「世界を変える」という僕の関心に、トレーナーが関心を持っているからこそ出てきたセリフです。

参照:パッとしないのになぜか“人気がある人”を観察すると、働き方改革につながるヒントがあった

相手に関心を持っているうちは、「相手を変えよう」としてしまう。

しかし、

相手の関心に関心を持つと、「自分を変えよう」とする。

それは、相手の関心に関心を持つことで、自分の中で捉え方の転換が起こるから。

そうすると「相手にかける言葉が変わってくる」ということだ。

鴨頭さんのエピソードでいけば、

相手に関心を持つ → 「ファスティングって痩せるんですよ」

相手の関心に関心を持つ → 「鴨頭さん、知ってます? 松下幸之助やスティーブ・ジョブズ、孫正義、ガンジーなど、世界を変えてきた偉大な人たちって、みんなファスティングをやってたんですよ。世界を変える鴨頭さんは、ファスティングにチャレンジするべきだと思いませんか?」

という具合に「コミュニケーションの質」がまったく変わっている。

私と妻との間で起こったこともまさにこれだった。

妻に関心がある時と、妻の関心(ニジプロ)に関心がある時とでは、かける言葉が全然違った。

そして、妻の関心に関心を持つことで、私たちのコミュニケーションは円滑になっていったのだ。

相手の関心に関心を持つと「相手が喜ぶ最高のプレゼント」が贈れる

TBSアナウンサーの安住紳一郎さんは「相手を褒める上手な方法」として、

相手に直接関わることは褒めずに、目に入ったモノ・気になったコトを褒めるのが最前です」という。

褒められて嫌な顔をする人はいませんから、褒め言葉を口に出すのはいいことだと思います。

ただし、世の中には私がテレビ番組でお会いするような、すでにたくさんの人から評価されている成功者もいます。そんな簡単に褒め言葉が通用する相手ではありません。

(中略)

相手に直接関わることは褒めずに、目に入ったモノ・気になったコトを褒めるのが最善です。

たとえば、コーヒーを出してもらったときに「素晴らしいカップですね、ありがとうございます」「とってもおいしいです」という。こういうのはまったくリスクのない褒めです。

コーヒーカップを褒めて響かなかったら、コーヒーの味、お茶菓子・・・・という具合に気になったものに言及していきます。

あきらめたらダメなのは、飛び込み営業と一緒。何がヒットするかわからないので、一つずつ端から順番に褒める、くらいのつもりでいます。

思うに、安住アナウンサーが相手を褒める時に意識していることも、「相手の関心に関心を持つ」ことなのだ。

そして、手垢のついた褒め言葉を相手に贈るのではく、「相手が喜ぶプレゼント」になるような言葉を、相手に直接関わらない物事の中からつねに探している。

これも「相手の関心に関心を持つ」からこそ実現できることなのだろう。

鴨頭さんも「言葉のプレゼントは相手の関心に潜んでいる」といっている。

相手の関心に関心を持つことは、「相手と良いコミュニケーションをするための核となる技術」といっても過言ではない。

「相手の立場に立って考える」は、「相手の関心に関心を持つ」ことで実践できる

ビジネスの現場や恋愛において、「相手の立場に立って考える」ことは重要だとされている。

しかし、「もっと相手の立場に立ちなさい」といっておしまいで、「どうすればいいのか」を教えてくれる人は多くはない。

これではあまりに無責任だ。

言われた側は、

「相手のどの立場で考えればいいのか?」

「それは相手の行動を考えることなのか?」

「考えた後にどうすればいいのか?」

など悩み、結局思考停止して動けなくなってしまう。

ところが、これも「相手の関心に関心を持つ」を心得ることで解消されるという見方を私はしている。

要するに、相手の立場に立って考えるは、「相手の関心に関心を持つ」ことで実践することができる、ということだ。

人が興味を持っていること=圧倒的に自分のこと」というデータもあり、「その人の関心」を「その人の立場」ととらえるのは決しておかしな話ではない。

参照:初対面では相手の名前を連呼。起業家けんすうの「人見知りのためのビジネスTips」

相手によって関心があることは当然違う。

それは家族かもしれないし、会社かもしれない。

仕事かもしれないし、同僚かもしれないし、恋人かもしれない。

またはその人がもっている価値観や哲学かもしれない。

それは一つではなく、複数あるのかもしれない。

このような相手の関心一つ一つに、しっかり関心を持つこと。

関心を持とうと思えば、相手に聞きたい「質問」も自然と出てくる

そして、相手の関心に関心を持とうとすればするほど、相手の立場に立って考えることができるようになる。

コミュニケーションの要」を私にあらためて教えてくれた「妻とニジプロ」には、感謝仕切りである。

NiziU誕生のプロセスとともに注目されたのは、J.Y. Parkさんのプロデュース姿勢だった。

その姿勢は、オーディションの過程で彼女たちを評価するJ.Y. Parkさんの「言葉」により表れていたように思う。

ときには、かなり厳しい指摘をするが、それはけっして感情的な叱咤ではなく、技術に裏打ちされた的確な助言だった。

そして、その的確さは、彼女たち一人一人が関心あることに、J.Y. Parkさんご自身が、しっかりと関心を持っていたからではないだろうか。

以上、何かの参考になれば。

Photo by John Schnobrich on Unsplash

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