コミュニケーション

リモートワークで、「コミュニケーションの生産性」を上げるための「5つの方法論」。

緊急事態宣言の解除とともに、「史上最大規模のリモートワーク(テレワーク)実験」が終わりを告げました。

最近は、各メディアや企業から上がってくる「実験結果のレポート」を読むのが一つの楽しみになっています。

自身のリモートワークの生産性が低いと考える人はわずか2%にすぎない。67%の労働者は長期にわたりリモートワークをすることに関心がある。

テレワーク経験者の割合は、日本人74%、外国人68%。「テレワークの生産性」について聞くと、日本人も外国人もともに約7割の人が「生産性は下がらなかった」と感じていることが明らかに。

コロナ後もテレワーク、「オフィス消滅」企業が続々

テレワークを体験したビジネスパーソンの86.4%が、業務の生産性が上がったと感じており、93.2%が今後も定期的にテレワークを実施したいと回答。

在宅勤務者の8割が収束後も「制度継続希望」、働き方の意識調査報告書を発表

テレワークに関する社員クチコミ約5000件のうち、74.9%が制度や活用に対してポジティブな評価。業種別の割合でみると、約3割が「IT・通信・インターネット」。

コロナ禍でリモートワーク定着予想8割強 在宅勤務普及で地方在住・共働きなど増加か

コロナ後もテレワークを「続けたい」、続けたくない人の2倍超ー3000人調査

内容を見るに、

「通勤のストレスがなくなった」

「業務の生産性が上がった」

「オフィスと決別することにした」

業種に偏りはあるものの、リモートワークに対しては概して「ポジティブな反応」が多い印象を持ちました。

リモートワークの課題、最多は「コミュニケーションの取りづらさ」

実際、今回の実験がうまくいった国内外のテック企業を中心に「コロナ後もリモートワークを原則とする」という発表が相次いでいます。

テレワーク研究の第一人者で、東京工業大学環境・社会理工学院の比嘉邦彦教授は、今までリモートワークに反対していたほとんどの人が「食わず嫌いだったのではないか」と、コメントされていました。

ただ、レポートの中にはまだまだ「課題」があるという記載も。

「会社にある紙の書類が確認できない」

「プリンターやスキャナーがない」

「集中力の維持が難しい」

「時間管理が難しい」

「つい仕事以外のことをしてしまう」

「運動不足になる」

「上司に仕事をしていないと思われるのではないかと心配になる」

「孤独を感じる」

「長時間労働をしてしまう」

中でも、多くのレポートで挙がっていた課題、

それは「コミュニケ―ションの取りづらさ」でした。

リモートワークのコミュニケーションは、「方法論」が悪いと「生産性」が一気に低下する

私もリモートワーカー(もうすぐ3年)なので、思うところがあります。

端的に言えば、

リモートワークのコミュニケーションは、方法論が悪いと生産性が一気に低下する

と思うわけです。

生産性とは「成果物➗投入資源」あるいは「アウトプット➗インプット」で表されるものです。

この考え方は、元マッキンゼーの伊賀泰代さんが著書の中で詳しく述べています。

生産性は「成果物」と、その成果物を獲得するために「投入された資源量」の比率として計算されます。

アウトプット」➗「インプット」といってもよいでしょう。

ごく簡単な例でいえば、10人の社員で10億円の利益をあげる企業のひとり当たり利益は1億円。

同額の利益を5人で達成する会社があれば、ひとり当たりの利益は二億円となり、後者の労働生産性は前者の二倍となります。


生産性は、分子の成果を「大きくする」か、分母の投入資源を「小さくする」かで、向上させることができます。

よって、これとは逆のことをすれば生産性は低くなります。

つまり、

コミュニケーションにおける成果は「伝わること」なので、「伝わらない」。

投入資源は「時間」なので、「時間がかかる」。

こうすると、コミュニケーションの生産性は低下します。

例えば、

・電話で話せば済むことなのに、わざわざ会って話したため時間がかかってしまった

・会って話せばサクッと済む話だったのに、メッセージでやりとりしてる間に誤解が生じて、伝わらずトラブってしまい、余計な時間もかかってしまった

どちらもコミュニケーションの生産性が低下しています。

そして、どちらも「方法論が悪い」です。

こんな感じで、リモートワークにおけるコミュニケーションも、方法論が悪いと生産性が一気に下がります。

例えば。

・上司に相談したいことがあってチャットをしたけど、なかなか返事がこないので不安になって、他の仕事には手がつかず時間が経ってしまった

・指導してもらった先輩に対して、「ありがとうございます。」とチャットで返したら「それ本当に思ってんの?」と突っ込まれて、感謝の気持ちが伝わらずに時間がかかってしまった

いずれも、コミュニケーションの生産性が下がっていることは明らかです。

そしてこちらも、「方法論が悪い」です。

思うに、

方法論が悪い」ないしは「方法論がない」ことから生じている生産性の低さこそが、「コミュニケーションの取りづらさ」という課題の根っこにあります。

つまり、方法論をしっかり考えて、実践することで解決が見えてくる。

また方法論を考える上では、「リモートワークにおけるコミュニケーションの特徴」を把握しておくことはとても重要。

なぜなら、特徴をよく理解しないままの方法論は、買ったばかりのパソコンに使う参考書のように、ほとんどワークしないからです。

リモートワークのコミュニケーションの特徴は、「姿が見えない」と「テキスト」

リモートワークにおけるコミュニケーションの特徴は大きく二つあります。

・コミュニケーションをする相手の「姿が見えない」

・コミュニケーションの中心が「テキスト」になる

これらの特徴は「オフィスではない場所で業務をする」というワークスタイルから生まれています。

コミュニケーションをする相手の姿が見えないと、相手が何をやっているのかが見えないので、不安になってきます

例えば、上司だったら部下に対して、

「もしかしたらサボっているんじゃないか」

「依頼した資料は作ってくれているだろうか」

「お客さんにしっかりフォローを入れているだろうか」

こんなことが頭をよぎってしまいそうです。

よって、こうした「不安」があることを前提に、どのようなコミュニケーションが生産性を上げるのか、を考える必要があります。

また、コミュニケーションの中心が、チャットツールでの「テキスト」になると、表情や身振り手振りがないため、意図が伝わりづらくなります

対面よりもかなり、コミュニケーションは難しくなる。

と考えるべきでしょう。

その上、同じ単語であったとしてもテキストは、音声以上に攻撃的な印象を与えやすいため、内容によっては相手に蟠り(わだかまり)を残すことにもなりかねません。

今話題となっている「SNSの誹謗中傷」も、「匿名性(姿が見えない)」と「テキストの攻撃性」によって生み出されているもの。

どうも、人は「匿名性」が高くなると、普段のように人前に姿をさらしている時にはしないような行動をしてしまうようです。

例えば、

普段より不愛想になったり。

他人や社会に対して攻撃的になったり。

渋谷ハロウィーンにおける「奇行」もそうです。

心理学ではこれを「没個性化現象」と、呼ぶそうです。

参照:匿名だと人は攻撃的になる?SNSが荒れやすい理由を心理学的に解説

思うに、テキスト中心で相手の姿が見えない「リモートワーク」には、こうしたリスクもはらんでます。

リモートワークで、「コミュニケーションの生産性」をあげるための「5つの方法論」

以上のことを考慮して、

私が日頃実践して効果があると感じている、リモートワークで、「コミュニケーションの生産性」をあげるための「5つの方法論」をご紹介します。

① 成果物を示す

まず、「姿が見えない」という不安に対しては、具体的な「成果物」で結果を示すことが一番効果的です。

これは、コミュニケーションの生産性が(分子が大きくなるので)確実に上がります。

そもそも仕事とは、結果を出すことこそが目標なので極めてシンプルな考え方。

自分がするべき業務内容やタスクを上司に相談し、成果物を報告することで、自分の成果を証明していきます。

ちなみに、上司(やお客さん)を「不確定(=不安)」と向き合わせてしまうのはダメな働き方です。

なぜかというと、人間の中には「不確定よりは、間違いのほうがまだいい」という真理が、全世界共通で働いているためです。

だからこそ、例えば上司には、その日に完了しない案件や業務の場合でも、途中経過をしっかり報告するのがいいでしょう。

少しでも成果物を示していくことは、信頼にもつながり、続けていけば姿が見えない状態であったとしても、上司も同僚も安心するはず。

世界的に有名なwebアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」の開発元である「37シグナルズ」も本の中で、リモートワークにおける「成果物の重要性」を述べています。

リモートワークのメリットの一つは、仕事そのものが評価の基準になることだ。

1日中そばにいて見張っている環境では、些細な勤務態度が成績評価に影響してくることも多い。

「9時ぴったりに席についていたか?」

「休憩が多すぎないか?」

「通りかかるたびにフェイスブックを開いている気がするぞ」

マネジャーはいつも、そんな些細な問題に気を取られてしまう。

仕事ではなく、印象でその人の評価が決まってしまうのだ。

でもリモートワークならそんなことは気にならない。

大事なのは「今日何をやりとげたか?」ということだけだ。

何時に出社して何時に帰ったかは問題じゃない。どんな仕事をしたかが問題なのだ。

あなたがマネジャーなら、部下に「今日やった仕事を見せてくれ」というだけでいい。

給料に見合うだけの仕事をしているかどうか、その目で確かめるのだ。

それ以外のささいなことは、会社にとってはどうでもいい。

とてもシンプルで、明快だ。

自分の状況を共有する

自分の状況やスケジュールを、できるかぎり共有しておくことも不安を解消します

例えば、googleカレンダーで予定を共有する。

チャットのスレッドに予定や状況を投稿する、などです。

共有する中身は「時間と内容」などを箇条書きにする程度で良いと思います。

自分の状況を伝えておけば、周囲は安心しますし、チャットへのレスが遅くても納得しやすくなります。

テキストは、情報をまとめて、読みやすくする

思うに、これもかなり重要な方法論です。

リモートワークに慣れていないとやりがちなのが、「テキストをチャットで五月雨式で送る」こと。

これはやっては「ダメ」です。

五月雨で送られてくると、それを受けた相手は、その都度確認や返信をしなければならず作業は中断してしまいます。

相手に与える「真理的負担」も大きい。

さらに、五月雨で送った内容が不十分な場合は、相手の誤解を招くこともあります。

誤解が生まれれば、その分時間もかかり生産性の低下につながります。

だからこそ、情報はしっかりまとめたテキストで、チャットを送ります

当然ですが、まとめる際には「事実」と「意見」は分けること。

そして、情報をテキストにまとめるときには、できるかぎり「読みやすく」することを心がけます。

この点については、ノーベル賞を受賞した、行動経済学者のダニエル・カーネマンの著書が大変参考になりました。

説得力のある文章を書くには

いまあなたは、受け手に真実だと信じさせる文章を書かなければならないとしよう。
もちろん本当のことを書くにしても、それだけで信じてもらえるとは限らない。

そんなときに認知容易性をうまく使うのは完全に正当であり、「真実性の錯覚」の研究成果がきっと役に立つだろう。

原則としては、認知負担をできるだけ減らすことである。

要するに。

読みやすくすることで、伝わりやすさが上がる」ということです。

具体的には、

・文章はなるべく短く、シンプルにする。

・強調したいところは太字にする。

・箇条書きを使う。

・カッコを使う。

・簡単な言葉でいい場合にあえて、難しい言葉を使わない。

・認識しやすいフォントを使う。

・文章を空白多めのレイアウトにする。

このような工夫が、認知に影響を与えます。

チャットで送るテキストの内容が工夫されていて、読みやすければ、不必要なコミュニケーションは取らなくてすみ、相手も安心します。

よって、コミュニケーションの生産性は上がる。

④ニュアンスを伝える配慮をする

前述のとおり、テキストは音声よりも「攻撃的なコミュニケーションツール」です。

だからこそ、そのニュアンスを伝えるための配慮をすることはウルトラ重要。

例えば、「ありがとうございます。」は、

「ありがとうございます!」

ありがとうございますっ

「ありがとうございます◎」

「ありがとうございます🙇‍♂️」

に変える。

もう全然、相手に与えるニュアンスが違います。

他にも、参考となる画像や、詳しく説明したドキュメント資料を添付するなど、テキスト以外の方法を使うことも効果的です。

特に、画像やスクリーンショット、資料のイメージは相手の目にとまりやすく、瞬時に理解してもらえるため、効果的かと。

⑤即レスを心がけ、即レスを求めない

自分自身はできるかぎり「即レス」を心がけています。

なぜなら、自分にチャットが飛んでくるということは、相談や質問、用事があるはずということなので、即レスがあると相手は嬉しいからです。

当然、コミュニケーションの生産性は上がります。

たとえ、情報共有のような内容であったとしても何かしらのリアクションを返しておくことで周囲は安心します。

この場合、テキストで返さずとも、Slackの絵文字リアクションなどで十分でしょう。

その一方で、

相手には「即レスは求めない」ようにしています。

たとえ、お互いに予定を共有していたとしても、予定外の緊急対応に追いかけられている可能性もあります。

オフィスであれば相手の様子を見て「忙しそうだから話しかけるのをやめよう」といった判断もできますが、リモートワークではそれができません。

即レスは求めてもいいですが、無駄な時間を過ごすだけです。

情報をまとめて、読みやすくすることに力を入れて、チャットで送って、その間に別の作業を進めておけばOK。

このように、無駄な時間を作らないことは生産性を上げます。

よほど急ぐ場合は、電話すればいいのかと。

以上が実践して効果があると感じている「方法論」です。

こちらのツイートも方法論を考える上で、参考になりそうです。

何かしらの参考になれば嬉しいです。

Photo by Luke Peters on Unsplash

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コミュニケーションは「分かり合う」ではなく「通い合う」を目指すといい。

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ABOUT ME
田中 新吾
1986年生まれ。元マーケター。現在は、中小企業のコミュニケーションのクオリティや導線をデザインする「コミュニケーション・ディレクター」が主戦場。webメディア『Point of View』の執筆者/管理人。白湯を愛するサユラー。

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